セカンド・サンタ
セカンド・サンタ



 それは僕が小学3年生の時のクリスマスの二週間前に起こった。


 その夜、僕と二つ上のお兄ちゃんは夜中に二人でリビングでゲームをしていた。もちろんお母さんとお父さんには内緒だ。夜中にこんなことをしているのがばれたらすごく怒られる。
 けど一日一時間しかゲームをしてはいけません!なんていう横暴なお母さんの命令には僕達二人とも反感を持っていたんだ。
 だって今時、ゲームをしていないと友達との話題にだって取り残されちゃう。なんていう屁理屈をお兄ちゃんと言い合いながら、二人で対戦ゲームをしていた。
 大体、隣の家に住んでる僕と同い年の宮澤司郎(みやざわしろう)なんてゲームのやり放題だって言っていた。いいよな。あそこの家はうちよりも金持ちだから、すぐに新しいゲームも買ってもらえるらしい。それでもって一日のゲーム時間だって制限されていないし。ずるいずるいずるい!
 ・・・・・・話がそれてしまった。
 とにかくそういうわけで僕とお兄ちゃんはリビングで電気もつけずテレビのあかりだけでゲームをしていた。
 するといきなり物音がしたのだ。
 誰かが二階から降りてくる音。二人分の足音ってことはお母さんとお父さんの両方だ。
 兄ちゃんは慌ててゲームのプラグを抜き、コタツに隠して自分もそこに隠れた。その一方で僕はテレビの電源を消して、僕もソファの後ろに隠れる。流石にというべき兄弟の連係プレイだ。
 けど、兄ちゃん、さっきのデータ絶対消えたよ…。僕の方が勝ってたのに。
 僕はソファの隙間から降りてきた二人を見つめた。電気がつけられたけど、大丈夫。僕は体が小さいから絶対見つからない。
「わざわざ一階に来なくたっていいんじゃないかな?」
 そう聞いたのはお父さんの声だ。一階にいるのにひそひそ声でしゃべっている。普通の声くらいなら上には聞こえないのは僕達でさえ知っているのに。
「だめよ!万が一あの子達に聞かれたらどうするの!」
 お母さんもひそひそ声だ。でもなんなんだろう、秘密ごと?
 コタツの方を見ると、その一角の布団がそろりと上がった。そこからお兄ちゃんの顔が見えた。あの顔は悪戯顔だ。嬉しそうに二人の会話に聞き耳を立てているようだ。
「で、今年はどうするの?」
 お父さんにお母さんがせっついた。お父さんはうーんと腕を振って悩む仕草をした。
「そうだなぁ。ゲームソフトとかでいいんじゃないか?」
「ダメよ!また二人が勉強しなくなっちゃう!」
 ゲームの話題が出て、なんだか焦った。今見つかったら絶対こっぴどく怒られちゃう。
 それにしても二人は何の話をしているんだろう。
「じゃさ、アレでいいんじゃない?一太郎は新しいグローブ買ってやって、二太郎には…」
「サッカーボールね。ニタ、ずっと欲しいっていってたものね。まぁ、そんなところかしら」
 自分の名前がでてどきっとした。きっとお兄ちゃんもコタツの中でドキドキしているだろうな。っていうかお兄ちゃんコタツの中熱くないのかな。多分ついてたままだった気がしたけど。ゲームも壊れないかな?
「じゃ、俺が今度会社帰りに買っておくな。どこに隠しておこう?」
「台所の戸棚がいいわ。あの子たち手が届かないから」
 それにしても本当に何の話だろう?
 もしかして僕に買ってくれるのだろうか?ずっと前から欲しかったサッカーボール!自分の無いからいっつも司郎のを借りて練習してたんだ。
 俺は胸をドキドキさせながら息を潜めていた。けれど。
「なぁ、今年もアレ着るのかよ、俺?」
「当たり前じゃないの!」
 お父さんは嫌そうに大きなため息をついた。アレってなんだろう…?
「嫌だなぁ…。いいじゃん、二人とも寝てるんだし、どうせ」
「万が一起きたらどう言い訳するのよ!」
「起きたらバレるだけだろう?」
「私が頑張って作ったんだから文句言わない!!」
「ハイよー」
 お父さんはやっぱり嫌そうに答えた。本当にお父さんはお母さんの尻にしかれっぱなしなんだからー!ってこの間近所のおばさんが言っていた気がする。僕にはよく意味が分からないけど。
「一応今から着てみてよ。アンタ、太ったから去年の入んないかも…」
「あーはいはい。分かったって」
 そう言うとお母さんはビニール袋から布を取り出した。
 布って言うか服?赤と白でできた分厚い服。
 お父さんがそれを受け取って、パジャマの上から着始める。
 僕は信じられない様子でそれをみていた。
 コタツの下ではお兄ちゃんも僕と同じように目を見開いていた。
「ん!大丈夫そうだ。今年もこれでサンタができるぞ!!」
 お父さんの言葉に僕は無意識に飛び出していた。
 だって、だって。その格好…。

「「嘘――――!!お父さんがサンタだったの―――!!!」」

 同時にお兄ちゃんも飛び出していた。流石似たもの兄弟。しかもなんかずっとコタツに入っていたせいで顔が真っ赤だ。それでなくても僕だって真っ赤だったけど。
 突然の出現でお父さんはひどくびっくりしてマンガみたいに飛び上がった。そしてその横のお母さんもありえないといった風に口をあんぐり開けている。
「あ、あんた達、聞いてたの?」
「マジかよ!マジで父さんがサンタだったの!?くそ!騙されてた!!」
 兄ちゃんが地団太を踏む。どうやらよっぽど悔しいらしい。僕だって悔しい。
「じゃ、じゃぁ、サンタさんって本当は居ないの?」
 悲しくて涙が出そうだった。するとお兄ちゃんが僕を右手で小突いてきた。
「馬鹿、泣くな!お前よりな、俺の方がよっぽどダメージでかいんだからな!!俺はお前より二年も多く騙されてたんだぞ!」
「お兄ちゃん、可哀想……」
「もうマジやだー!サンタが父さんなんて悪夢だ。俺たちの純粋な夢を壊しやがって!」
 お兄ちゃんもぐすんと鼻をすすった。
 お兄ちゃんの気持ち、すごく分かる。
 だって僕もお兄ちゃんと同じくらいサンタさんに憧れていた。一回サンタについて談義した事があるくらいだ。自分は何ももらっていないのに世界中の子供たちにプレゼントをあげるなんてどんだけ素晴らしいんだって。それがただのくたびれたサラリーマンであるお父さんなんて。
 僕とお兄ちゃんは同時に泣き出した。
 それをみていてお母さんはハァッと頭に手をやった。その横ではまだお父さんがオロオロしている。
 すると突然お母さんが口を開いた。
「あんた達、早とちりしないで。サンタさんは本当にいるのよ?」
 僕はお母さんの顔を見上げた。お母さんの顔は真剣で、本当のことを言っているように見えた。
「あのね。日本のサンタさんはずっと病気でプレゼント配れないの。だから仕方なくお父さんが代わりにサンタさんのフリをしていたのよ」
「じゃ、本当にいるの?サンタさん?」
 僕が聞くと、お母さんはうんと笑顔で答えてくれた。僕は嬉しくなった。
「でも今までのプレゼントは全部父さんと母さんが用意してたんだろ?」
 お兄ちゃんはまだすねたまま、そんな事を言ってたけどそれでもお母さんの言葉は揺るがなかった。
「まぁね。でもサンタさんに頼まれて仕方なくやっていたのよ。だからあんた達の夢は壊れてないじゃないの」
「そうだけど」
 お兄ちゃんは恨めしそうにお父さんを見ていた。お父さんは慌ててサンタクロースの服を脱いでいた。
 けどそこでお母さんは話を切った。
「大体、あんたたちなんで起きてるの!?はやく寝なさい!」
 そうだった!ゲームしていたのがばれちゃう!
 そう思って僕は慌てて二階に駆け上がった。そしてお兄ちゃんも僕の後ろを追いかけてくる。
 二人で共用の部屋に入ると、僕はお兄ちゃんと顔を見合わせた。
「お兄ちゃん、よかったね!サンタさんいるって!」
「…あぁ、そうだな」
「でも病気なんだよね。今年も配れないのか…」
 僕はシュンとした。サンタさんはどういう病気なんだろう。お父さんみたいに時々腰が痛いとか言っているくらいなら僕が揉んであげるのに。
 そんなことを考えていると、僕はふとあることに気付いた。
「あっ!!!」
 お兄ちゃんが不思議な様子で僕の顔を見下ろした。
「…なんだ?」
「司郎!!司郎どうしよう!!」
「あぁ?」
「司郎はサンタさん今年も来るって信じてるんだよ!!どうしよう!教えてあげなきゃ!!」
 司郎はすぐ隣に住んでいるお隣さんだ。僕と同い年で僕の一番の友達。
 その司郎がこの間嬉しそうに言っていたのだ。「今年のサンタさんは何くれるのかな〜?」って。
 僕はどうしよう、と思った。
 だってサンタさんは腰が痛くて動けないのだ。プレゼントなんて配れないに決まっている。そうしたら司郎のところにサンタさんはきっと来ない。司郎はきっと悲しむだろう。
「どうしようどうしようどうしよう!」
 僕がお兄ちゃんの服を引っ張ると、お兄ちゃんは悪戯顔で笑った。あ、この顔は。
「じゃ、俺たちが司郎のサンタをやるか?」
 お兄ちゃんの言葉に僕はびっくりした。
「僕達が?二人で?」
「ああ。だってあの父さんにだってできたんだから、できるだろ?」
 お兄ちゃんは楽しそうだった。
 でも僕はそれをとても良いアイディアだと思った。だって、僕は司郎がサンタが病気なのを知って悲しむのを見たくなかったから。
 そう、小学3年生の頃。僕は本気で司郎のサンタクロースになる事を決めた。
 そしてそれは高校生になっても驚く事に続いたのだ。


 僕が小学3年生の頃のサンタクロース大作戦は結果から言うと成功に終わった。
 クリスマスの夜の日、僕とお兄ちゃんは司郎の部屋にベランダ伝いで侵入した。そしてぐっすり眠っている司郎の枕元に僕が用意したプレゼントを置いてきたのだ。ちなみにプレゼントを用意するのは僕の役目だった。
 だって僕は司郎の親友なのだ。
 司郎が何を欲しがっているかなんてお見通しだった。
 だから、司郎が最近ずっと集めているギザジュウコレクションを自分なりにたくさん集めて包装したのだ。

 ちなみにその翌日、司郎の両親は随分驚いた。司郎の家はクリスマスツリーの下にプレゼントを置いておく形式だったので、司郎の枕元に置かれた僕たちからのプレゼントを必然的に先に見つけることになったからだ。
「サンタさんからプレゼントもらったよ!!」
 嬉しそうに起きてきた司郎に司郎の両親はハテナを飛ばした。
「え?それ、サンタさんから?」
「うん!」
 司郎の父親と母親は首をかしげた。サンタから司郎へのプレゼントは彼らが用意したはずだった。そしてそれはちゃんとクリスマスツリーの下に置いてある。
「あれ?あのプレゼントはなぁに?」
 司郎はそれに気付いたらしく、そのプレゼントの元へ駆け寄る。母親はどうしたものかと悩んだ。けれどまぁいいと思い、
「それは私とお父さんからのプレゼントよ」
 と咄嗟に答えていた。
 というわけで、司郎は正体不明のサンタと両親からの二つのプレゼントをもらったわけだ。そして司郎がサンタからのプレゼントを開けた時、司郎はとても嬉しそうにそれを見つめた。
「わぁぁ!!ギザジュウコレクションだ!!なんでサンタさん、僕が一番欲しかったもの分かったんだろう!?」
 それを聞いて司郎の母親と父親は苦笑した。
 二人が用意したゲームソフトも司郎は喜んだが、何故か謎のサンタからのプレゼントの方が司郎のツボをついたらしい。
 正直、両親たちの思惑から外れてしまったわけだ。
 けれど、そんなことはもちろん当時の僕もお兄ちゃんも気付いているわけが無かった。



 そしてあれから7年。僕はまだ司郎のサンタを続けている。
 僕が中学生になると、お兄ちゃんは突然反抗期になって僕の手伝いをしてくれなくなった。反抗期っていうか受験シーズンだったから忙しかったんだと思うけど。だから中学からの3年間は僕が一人で司郎のサンタをやっていた。
 今まで僕が司郎にあげてきたものは大体が僕の宝物だった。小学生の時はびっくらこいたマンシールの金ぴかのレアカードだったり、中学校に入ってからはペポシのペットボトルキャップだったり。
 正直、全部全部僕が大事にしていたものだったので本当は涙ものだったけど、けど僕は構わなかった。
 司郎のためなら何でもあげたかった。司郎がサンタさんを信じてるなら僕がサンタさんをやってあげたかったし、司郎の悲しむ顔なんて見たくなかった。
 その途中でなんとなく気付き始めた。
 僕は司郎が好きなんだ。



 今年のクリスマスには、僕は司郎に携帯ストラップを包んだ。司郎は今年やっと自分用の携帯を買ってもらったばかりだといっていた。けど、正直自信は無い。
 今までは司郎のこと、手に取るように分かってきた。分からなくなってきたのは一昨年当たりから。司郎が僕に隠し事をするようになった。司郎は隠し事をしている事さえ隠しているような感じだったけど、それくらいは僕にだって分かる。それからはいろいろ頑張ってプレゼントを考えてきたけど本当の本当に司郎が欲しいものが分からなくなってきた。
 サンタさんは大人にはプレゼントをあげないっていうけど、多分そういうことなんだ。大人って本当に自分が欲しいものを隠してしまうみたいだ。

 イヴの夜。僕のうちの人が全員寝静まってから、僕はそっと窓を開けた。
 窓を開けた瞬間見える夜空には星が満天と輝いていた。その向こうにある窓が司郎の窓。
 ちょうど日が変わる頃の時間だ。司郎の部屋はいつものように暗くなっていた。
 僕は用意したプレゼントを小脇に抱えると、屋根伝いに司郎の部屋のベランダに侵入した。司郎はいつも窓の鍵は開いたままが多いから、僕も普通にそれを開ける。
 司郎の部屋に入ると、ベッドがちょうど一人分の人間の大きさに膨らんでいた。ちゃんともう寝ているんだ。司郎はいい子だなぁ、と思いつつ枕元に用意したプレゼントを置こうとした。
 その時だ。

「……っ!!」

 寝ていたその人間がいきなり布団を翻して、僕の手を引っ張った。ちょうど前かがみになっていた僕の態勢だとたやすく体は傾いてしまって、僕はいつのまにかその人間にベッドの上に押さえ込まれている形になってしまった。
 司郎は高校生になって随分大きくなってしまった。まだ全然成長してない僕なんて押さえ込むなんてことは簡単だ。

「……やっぱりお前だったか、ニタ」

 ガンッと衝撃が来た感じがした。
 ばれてしまったのだ。サンタさんが僕だって事ばれちゃった。司郎は怒っているのだろうか。悲しいだろうか。
 僕は一気に気持ちが沈んでしまった。
 目の横に涙が筋になって流れてしまう。
 それを見た司郎はぴくりと目を動かした。
「ごめんねぇ、ごめんね、司郎〜」
「……何がだよ?」
「僕が三番目に生まれてたら、ニタじゃなくて本当にサンタだったかもしれないのに……」
「ばぁあーか。サンタがいないことなんてもう分かってるんだよ」
「違うよ!サンタはいるんだよ!!ただ、日本のサンタは今不治の病だからプレゼント配りをしていないだけだって!!だから僕が代わりに!!」
「あーはいはい」
 司郎がポンポンと僕の頭を撫でた。
 僕は怖くて司郎の顔が見れなかった。
 昔、司郎が泣いてた顔を思い出した。サンタさんはいるんだよ!と言ってクラスの男の子と争って泣いていた。あの時は僕も泣いていた。サンタさんは絶対いるものだと信じていたから。
 僕は怖かった。僕は司郎の夢を壊してしまった。
「ニタはいつまでも変わらないな……」
 上から司郎の優しい声が降ってきた。僕は顔をあげそうになった。でもやっぱり怖くてあげられなかった。
「司郎も変わってないじゃないか……」
「バァカ、俺の頭の中でお前がどんな風になってるか知らないだろ?」
 意味が分からなかった。
 司郎の頭の中で僕がどうなってるっていうんだろう。
「ニタ、変わることは仕方ないことなんだよ」
 そう言った司郎は僕の顔を覗き込んできた。
 僕の目尻に残っていた涙を拭うとそのまま覆いかぶさってきた。そしてそっと唇をふさがれた。
「……んっしろっ……!?」
 すぐに離れていく司郎の唇をぼーっと見つめていた。
「プレゼント、ありがとな。けど、それ、俺の一番欲しいものじゃないよ。」
「え?」
 まだ包みをあけてもいないプレゼントにそんなことを言われて僕はショックを受けた。
「わ、わかんないよ?開けてみたら――」
「分かるって」
 司郎の欲しかったものはこのサイズではないのだろうか?綺麗な柄の包み紙に包まれたプレゼントを見て僕は泣きそうになった。
「ニタ、7年間、プレゼントありがとう」
 まるで今年が最後みたいに言われて僕はまた涙をぽろりと落とした。
 だって、司郎は来年からは僕がプレゼントを渡す事はないって思っているんだ。だってサンタじゃないから。サンタはいないと思っているから。
「ぼ、ぼく、来年も司郎にプレゼント持ってくるよ?来年も再来年も……」
「もういいって」
「なんで」
「いいんだって。分かったんだ」
「何が」
 司郎は顔にかかっていた僕の髪の毛を優しくのけた。司郎の顔がぼんやりと見える。
「俺はもらうよりも奪う方が好きだって」
「え?」
 言われた瞬間、またキスをされた。そのまま、服の中に手を入れられた。
「や、ちょっとなに――」
「好きだ、ニタ」
「へ?」
 司郎に顎を掴まれた。そして真っ直ぐ司郎の方へと向けられる。
「好きだ」
 同じ事をまた言われて、僕は顔をカアァっと赤くさせた。
 好きなのは僕の方だったはずだ。でも司郎は僕の答えなんて聞かないで
「いいよな?」
 と聞いてきた。
 僕が頷こうと思う前に、中に入れられていた手が動き出して、僕は何も考えられなくなってしまい・・・・・・。

 ああ、僕は本当に司郎に全てを奪われてしまったのだ。



 朝になって司郎と目をあわせて笑った。
「来年からはサンタさん、もう来てくれないね……」
 サンタさんが例え不治の病から治ったとしてもきっともうきてくれない。だって僕は大人になってしまった。夜更かしする悪い子にもなってしまった。
「ニタ、言っただろう?変わることは悪い事じゃないんだ」
 くしゃっと撫でながら司郎に言われた。
 うん、そうだね。変わることは悪い事じゃない。
 サンタさんはもう来なくてもいいかもしれない。
 だってこれからは僕の一番欲しいものはきっと司郎がくれるから。





おわり





クリスマスから三日過ぎてますがいけしゃあしゃあとアップしてみます。お馬鹿受けって何気に好き。
written by Chiri(12/28/2007)